レーザー治療とは

レーザー治療のイメージ写真

眼疾患の治療でレーザーを用いるケースというのは少なくありません。具体的には、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症によって発生した新生血管を抑制させる治療に用いるのをはじめ、緑内障の患者さんであれば、目の中を循環する房水が流れにくい状態を改善させるために虹彩などに孔を開けるために使用することもあります。また、白内障の手術後に残した水晶体の一部が白濁してしまうことで、その部分をレーザーで切除するといったことで用いるということなどがあります。

レーザー治療が適用される主な疾患

治療について

レーザー治療をするにあたっては、まず顔を固定させる必要があるので、顎を置くとされる台に顔を載せていきます。続いて点眼麻酔を行い、特殊なコンタクトレンズを装用することで手術の開始となります。照射時間としては0.1～0.2秒程度（一発あたり）ですが、これを数十～数百発程度行っていきます。治療時間（レーザー照射）としては、5～15分程度です。

治療時の注意としては、眼球を動かさないようにしてください。急に動くなどすれば、レーザーが病変にうまく当たらないだけでなく、視力を低下させることもあります。そのため、照射時は漠然と正面を見ている感じで臨むようにします。痛みについては、短時間の照射なので、ほぼ感じないか、目の奥がズーンと重い感じがする程度と言われています。

当院のレーザー治療について

網膜光凝固術

レーザー光を網膜に向けて照射する治療のことを言います。主に糖尿病網膜症や滲出型の加齢黄斑変性によって発生した新生血管の増殖を抑える、もしくは退縮させる際の治療法として用いるほか、網膜静脈閉塞症による網膜の浮腫を軽減させる、網膜裂孔によって、網膜に孔が開いてしまった部分の端の部分にレーザー照射し、その瘢痕によって孔を塞ぐなどして、網膜剥離などへの進行を防ぐといった場合に使用していきます。

レーザー照射の際は、患者さんに点眼麻酔を行い、レーザー治療の際に必要な専用のコンタクトレンズを装用するなどしてから施術の開始となります。照射によって、新生血管を熱凝固させるなどして、これ以上の病状の進行や悪化を止めていくようにしますが、その一方で正常な組織も一部凝固（損傷）させてしまうこともあります。そのため使用の際は、デメリットも考慮したうえでの使用となりますが、視力を維持していくために必要という場合に視力にかかわらない範囲の網膜に対して光凝固を選択することがあります。

緑内障レーザー

眼球内を循環し、血液のように酸素や栄養を運ぶ働きをする房水が、何らかの原因によって流れが悪くなる、詰まるといったことで眼圧が上昇するなどして、視神経が障害を受けることで視野欠損等の症状がみられるのが緑内障です。この房水の流れを改善するために行われる治療のひとつが緑内障レーザーで、この場合は主にレーザー虹彩切開術とレーザー線維柱帯形成術の2つの方法があります。

レーザー虹彩切開術

虹彩とは、外部から入ってくる光の量を調節する器官になりますが、この部位にレーザーを照射して孔を開けていく施術です。これによって、虹彩を境に分かれている前房と後房の間の流れが改善し、房水が排出しやすくするという施術です。主に原発閉塞隅角緑内障や急性緑内障発作の患者さんに行われます。また施術前には隅角を広げられるよう、瞳孔を収縮させる効果がある点眼薬を使用し、さらに点眼麻酔、特殊なコンタクトレンズを装用してからレーザーの照射となります。治療後に再び孔が塞がってしまうこともあります。その場合、再びレーザーを使用していきます。

レーザー線維柱帯形成術

線維柱帯とは、角膜と虹彩の間にある房水をろ過していく、いわゆるフィルターの役割をする組織のことを言います。ここが何らかの原因によって目詰まりを起こしてしまう場合も房水の流れが悪くなって、緑内障を発症してしまうことがあります。レーザー線維柱帯形成術は、線維柱帯にレーザーを照射していくことで、フィルターの網目を広げていくことで、詰まりを解消していくという施術になります。主に原発開放隅角緑内障の患者さんに用いられることが多く、薬物療法では改善が困難という場合に選択されおりましたが、近年は点眼を開始する前の第一選択が推奨されるようになってきました。

後発白内障レーザー

白内障の手術を受けた方のみが対象となる治療です。そもそも白内障の手術は、濁った水晶体の部分を切除して代わりとなる人工水晶体（眼内レンズ）を挿入するという内容になります。この場合、水晶体の一部分（前嚢の一部、後嚢）は残るわけですが、その部分が手術後（数ヵ月～数年程度）に白濁してしまうことで、かすみ目や物が二重に見えるといった白内障の症状が現れることがあります。これを後発白内障と言います。

この場合の治療法はレーザー治療となるわけですが、外来による日帰りにて対応できます。レーザーによって後嚢の白濁した箇所を切除していきますが、白内障手術では眼内レンズを支えるのに必要だった部分も、眼内レンズがすでにしっかり固定されている状態なので、この部分がなくなったとしても外れることはありません。なお施術時は、点眼麻酔と特殊コンタクトレンズを角膜に装用します。痛みがみられることは少ないとされ、術後はすぐに視力が回復するようになります。