見えづらい(視力低下・視野障害・
手元が見えづらい)
物がはっきり見えない、ぼやける・かすむといった症状は目の疲れでも起こりますが、眼鏡やコンタクトレンズが合わなくなった、近視や老視などの屈折異常、白内障・ぶどう膜炎・ドライアイなど眼科専門医による適切な治療が必要なケースもあります。特に急激な視力低下が起こった場合、深刻な視力低下や視野の欠け、失明などに至る可能性もあります。
「最近、視力が落ちたようだ」「目がかすんで、見えなくなってきた」という場合、中年以降の人であれば、代表的な病気は白内障が考えられます。 また、中年以降の人が「近くを見るときにぼやけて見えにくい」というなら、老眼も考えられます。
加齢に伴う白内障や老眼は、老化現象の一つで、手遅れになるような心配はありませんが、視力低下は何らかの疾患が隠れている場合もあるため、原因を確認することが大切となります。
目が疲れる(眼精疲労・ドライアイ)
目に充血や痛みなどが起こり、視界がかすみ・ぼやける、まぶしさを感じるなどの症状がおこります。これが悪化すると目の症状だけではなくきつい肩や首の凝りがおこり、ときにはめまいや吐き気など全身疾患の状態を感じることもあります。
このような症状が、十分な休息をとっても回復しないものが眼精疲労で通常の疲れ目とは区別して考えます。
近年では、パソコンなどのディスプレイ作業が増え、近い距離にピントをあわせるために目の筋肉を使い続けてしまうことに起因する眼精疲労やドライアイの増加しています。
ただの疲れ目と侮っていると、体だけではなく心にまで影響を及ぼすこともあります。目になかなか治らない疲れを感じたら、一度ご相談ください。
目が赤い(結膜炎・アレルギー性結膜炎など)
目が赤く充血しする原因として、結膜が炎症をおこしているケースと結膜以外に問題があるケースに分けられます。
結膜の炎症には、アレルギー性の結膜炎や細菌感染症などが考えられます。結膜以外に原因があるものには、ドライアイ、虹彩炎、強膜炎や上強膜炎、角膜炎などが考えられます。
また、コンタクトレンズを使用されている場合はレンズの外し忘れやズレなどによって角膜が傷ついている可能性があります。また、白目に鮮やかな赤い部分があらわれた時は結膜下出血が考えられます。ほとんどの場合は数日から長いケースでも2週間程度で消えていきますが、何度も出血を繰り返すようなケースでは、結膜弛緩症などの病気も考えられますので、一度ご相談ください。
目が充血・出血する場合の原因として疑われる疾患は感染性結膜炎、アレルギー性結膜炎、眼精疲労、ドライアイ、ぶどう膜炎、急性閉塞隅角緑内障、結膜下出血などがあります。
目がかゆい
目は、まぶたやまつ毛、涙、結膜などで守られていますが、細菌やウイルスの感染やアレルギー反応によって強いかゆみを感じることがあります。また、花粉だけではなくコンタクトレンズやカラーコンタクト、パソコンやスマホの使いすぎや乾燥などが原因でかゆみが起こる場合もあります。
かゆいと無意識に目をこすってしまいがちですが、これによって角膜や白目の部分に傷ができてしまい、腫れが治りにくくなるだけでなく、視力への悪影響や、放置をすると結膜炎などの病気につながるリスクにもつながります。
目(目頭・目のふち)がかゆみで疑われる疾患は、結膜炎やアレルギー性結膜炎、感染症結膜炎などが考えられます。また、目のふちのかゆみは麦粒腫(ものもらい)の症状や、眼瞼炎などの場合もあります。
目がごろごろする
ゴミやほこりなどの侵入やコンタクトレンズ、目の乾燥が原因で、目がゴロゴロしたり、まばたきの際に何かが当たるといった違和感、取れそうで取れない目の異物感が生じます。異物感が気になり目を擦ってしまうと、炎症やアレルギー反応によって症状がさらに悪化する場合があります。
原因としては、パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続けるなどで、目が乾燥していることや、コンタクトレンズ、異物の混入や逆さまつげなどが考えられます。
眼精疲労やドライアイ、結膜炎や角膜炎、麦粒腫・霰粒腫(ものもらい)などが原因で症状が起こっている場合もあります。
めやにが出る
目やには、目の表面の不要なもの(脱落した上皮、血液内の細胞、病原体)を涙に含まれるムチンという物質がからめとってできたものです。朝起きた際に目の周りについているくらいは問題ありませんが、日中も目やにが出てくる場合には注意してください。
黄色っぽいネバネバした目やには、細菌やカビ(肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、等)が原因です。膿のような大量の目やにが出る場合は淋菌が原因です。サラサラとした目やには、ウイルス(アデノウイルス8型、等)が原因で、流行性角結膜炎(はやり目)という疾患があります。透明や白色の目やには、アレルギー性結膜炎やドライアイが原因となります。
涙が出る
人によっては涙がこぼれるためにハンカチやタオルが一日中手放せなかったり、涙がたまって見づらいという訴えの方もいらっしゃいます。
涙の分泌量が正常よりも多くなっている場合(睫毛乱生、眼瞼内反、結膜炎、特殊なドライアイ)と、涙の分泌量は正常なのに涙が鼻へ抜けていく排水路が詰まっている(鼻涙管閉塞)ためにあふれてしまったり、あるいは白目をおおっている結膜が加齢現象でだぶついている(結膜弛緩症)場合などがあります。
新生児や乳児に涙や目やにの症状がある場合は、先天性鼻涙管閉塞症や涙嚢炎の合併の可能性があります。点眼や手術により治すことができる場合がありますので、一度受診してください。
瞼が腫れる
目やまぶたが腫れる原因はさまざまです。ちょっとしたトラブルで起こることもありますが、何らかの疾患が原因のことも多くあります。また、まぶたの腫れはまれに眼球の表面にある結膜が腫れている「目の腫れ」の場合もあります。
まぶたは皮膚が薄く簡単に腫れるため、「枕に顔をうずめて寝ていたらまぶたが腫れた」という場合もあります。また、過労や寝不足のほか、長時間泣いたという理由でもまぶたが腫れてむくんだ状態になります。こうしたむくみによって腫れている場合、痛みもなく、その日のうちに引いて定期的におこるようなものでなければ問題はないのですが、いつまでも腫れたままの状態であれば病気を疑う必要があります。
目やまぶたの腫れの症状から考えられる病気はものもらい・結膜炎・流行性角結膜炎があげられます。
歪んで見える(変視・歪視)
視界が歪んで見えるのは、何らかが原因で網膜の中心の黄斑が変形するからです。 視野の異常は、見え方によって疑われる疾患が異なります。視野の一部が欠けて見えるのは、緑内障や網膜剥離、網膜静脈閉塞症などが疑われます。 対象物を見ようとすると真ん中が暗くなりぼやけるのは加齢黄斑変性症、真っ直ぐなものを見た時にカーブを描いて見えるときは乱視による屈折異常などが考えられます。周辺部の視野欠損は気付きにいため、注意が必要です。中心部の視野欠損においても、視野欠損のない反対側の目がカバーできるため気付きにくいといった特徴があります。 治療方法は、薬物治療や手術治療など、患者さんの原因となる疾患によって異なります。
ゴミが飛んで見える(飛蚊症)
目の中で、ちいさな虫やゴミのような黒い小さな影がみえることがあります。影の大きさや形はいろいろで、空気中にうかぶゴミがふわふわしているように見えたり、視線を動かすとともに動いたりします。
この状態を飛蚊症(ひぶんしょう)といいます。若い方の場合は生理的飛蚊症という、人間の眼球の大部分を占める「硝子体」のなかで、コラーゲンが線維状に固まってしまったものが、網膜上に投影されている現象のことが多いです。多くの場合は心配ないのですが、時に失明につながるような病気が原因になっている病的飛蚊症もありますので注意が必要です。
50歳から60歳の方や若年でも近視が強い方は、後部硝子体剥離に伴う症状であることがあります。まれに、網膜剥離、網膜剥離裂孔、硝子体出血、ぶどう膜炎などが原因のことがあります。